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2005年09月07日

ジンジャントロプスボイセイ『ユビュ王』

横浜のBankART1929ホールにて、ジンジャントロプスボイセイの「ユビュ王」のショーイングを観て参りました。
ジンジャンは今年の秋にドイツとポーランドで公演を控えているそうですが、それに向けての公開リハーサルを4日から6日にかけて、そしてショーイングという名での公演を本日1回きりという形で開催されました。

ジンジャントロプスボイセイは今回が始めての観賞でした・・・本日の公演はリハーサルの集大成という感じでしたので、ジンジャントロプスボイセイのエッセンスは感じられるものの、これが本気のジンジャンである!というところまでは出ていなかったのではないかと感じました。
とはいえ、本公演を見たことがありませんので、比較検討ができないのが残念であります。

HPにも記載されている通り「おおまかな出来上がりの状態を、主に演技と音楽を中心にご覧いただきます。 」という内容だったと思います。
アーティスティックな舞台構築を試みている集団ですので、そういう独特の雰囲気というかセンスというか・・・そういうものは醸し出されていましたが、やはり総合芸術という域には達していなかったように思います。
魅力的だった演技・演出、そして衣装や小道具使い・・・そこに加わる生演奏の音楽、この音楽はBankART1929ホールの特色である反響がかなり効いていて荘厳な印象を持ちました・・・ユビュ王という作品にとってこの音楽とBankART1929ホールという場所は良い選択だったのではないかと感じましたね。

とはいえ、その反響の効果が役者の声にも如実に効いてしまっていてなかなか台詞が聞こえづらい・・・場所的に仕方が無いのかもしれないのですが、その点は残念でありました。
BankART1929ホールという場所が持つ静謐な空気と反響する構造は、今回の作品にとって演出面では多くの意味を持ちプラスに働いてはいたものの、技術面では聞き辛いや演技が散漫になるなどのマイナスを持っていたのではないかと感じました。

とはいえ、BankART1929ホールという特殊な空間とユビュ王のコラボレーションには、意図と意義が確実に介在していた・・・それを楽しむことは出来ました、ただしそれはそれらの完全なる結実というわけではなかった。
是非とも完成形を見てみたい、という欲求と不満をもたらすショーイングでしたね・・・特に今回は一切考慮されていなかった照明に関しては心残り。

舞台前方にはマイクが設置されており、ユビュの唸りとも言葉とも判断の付かない声が増幅され劇場空間に拡散するというシーンから始まる。
こういった演出も劇場空間の理を最大限に生かしているものと思われます・・・その部分にどこまでメッセージが入れ込まれているのかは定かではないのですが、ユビュという人間がどのような存在なのか、吐き出される気持ちの悪い音と共に彼が設定されていく。

ジンジャントロプスボイセイの作品は、この言語発声に関係して独特なイメージを持っているようだった。
幾度もフィルターを重ね合わせ、本来の言葉や音を不可解なレベルにまでぼかす策・・・観客はその加工された音声に対して、時に漂うように聞き入れ、時には何としても読み解こうという積極的なアプローチを行う。
その行為は、観客を言葉に対して不用意にする事を拒み、常に前のめりに舞台を見る目線を齎すだろう・・・。
そしてまた、言葉は音へと変換されることで、舞台の物語の語り部の任を解かれ、音という要素に還元される・・・ジンジャントロプスボイセイはその音を道具として使い、集合を1つのオブジェとしてそこに設置する。
そこにあるのは、音のイメージであり、視覚で捉えるべき芸術となる・・・額縁に収められる1つの絵、それがジンジャンの舞台。

とても分かりやすかったのは、地位の描き方だ・・・当に絵的に分かりやすく、立っている場所がその人間の地位であるという書き方だ。
ユビュよりも下の人間は、ユビュよりも小さく低い位置に・・・より高い地位の人間は高く、そして大きく。
奥行きのある舞台を利用する事で相対的なサイズの違いを生み出していましたね。

絵画的な舞台を徹底している・・・その中に紛れ込む滑稽な笑い。
今回に関して言えば、それらが絶妙に組み合わさってすばらしい作品になっていた!とは言い難いが、まぁそれはリハーサルだったわけでまぁ仕方が無いかと・・・是非完成作を見てみたいですね。
日本で凱旋公演が行われることを期待いたします!。

>>漂泊する思考空間
同様の公演を観劇されていたようですね。
「wonderlandでもおなじみの北嶋孝さん」という書き方をされているので、北嶋さんとの交流もあるのでしょうか?。
膨大なテクストがWEB上で展開されています・・・劇評に限らず気になるサイトです。

posted by yositosi at : 22:05

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コメント

トラバどもです。
凱旋公演をぜひとも期待したいもんです。ジンジャンのお芝居を観たのは今回がはじめてだったのですが、ひきつけられますね、あれは。ちなみに北嶋さんとは直接的な交流はございません。残念ながら。受付のところで名前書かされていたでしょう。ぼくの前に書いたひとが、北嶋さんだったのです。ワンダーランドさんには拙い劇評もどきを数回紹介していただいた程度で、ついこないだまで演劇とは無縁の生活でしたゆえ、今はまだ勉強中の身であります。足りない点などがございましたら、じゃんじゃんおっしゃってください。それでは。

わざわざありがとうございます・・・トラックバックは出来なかったのでしなかったように思いますが・・・気が付いていただけたみたいですね。
今回の評論は独特な視点で描かれていて、実は参考にしながら書かせていただきました。
私も中央線沿いに住んではいないですけど、かなりの確立で出没しています。
もし機会がありましたら、お話でもさせてください!
今後の文章にも目を通させてもらおうと思います・・・それでは。

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