シベリア少女鉄道『笑顔の行方』
紀伊国屋サザンシアターにシベリア少女鉄道の第13作品目(公演とは言いづらい)・・・「笑顔の行方」を観てまいりました。
初の紀伊国屋進出ということで、前評判はいやがおうにも盛り上がりつつ、最近の当劇団のお決まりごととして心配する声も聞かれ、今回は果たしてどうなることやら・・・というように、芝居を観る前からいろいろ考えされる希有な劇団であります。
サザンシアターという大きな箱を一体どのように調理するのだろうか・・・前回作品がヘタっていた理由として今回作品へ力を注ぐ為であるなどという妄想も飛び交い、サザンシアターなんだから久々に傑作を持ってくるだろうという想定もされていましたが、果たしてその結果は範囲内だったのでありましょうか?
チラシに決戦は金曜日からと記されており、笑顔の行方というタイトル・・・おやおや、今回はドリカムがテーマになっているのでしょうか?
こうやって、チラシなんかからいろいろ考えるのも当劇団の楽しみに1つ・・・。
とはいえ、今回のお芝居に限って言えば、どこかにドリカムが散りばめられていたでしょうか?私には発見できず・・・きっと主宰さんの趣味でしょうかね?
あ、それとも、ドリカムにビビビと来る人に向けたメッセージでしょうか?・・・ドリカムの人気に乗っかったとか?
まぁ、今回のお芝居は金曜日がスタートで、だから決戦は金曜日からだっていうことぐらいでしょう。
いつも通り、前半のお芝居の出来はお世辞にも上手いとは言えないもの、加えて今回はいつもの数倍も大きい箱、そこでいつも通りのお芝居をされても困りもの。
まぁ、シベリアの良さはそんなところではないので気にするまい・・・映像が舞台全体に映し出されるので「あ、今回も映像ものなんだな」というのは開始10分で分かる。
写真が映し出されて、そこに役者が入り込むという形でなにやら様々な場面が表現される・・・ふむふむ、これがどう展開されるのでしょうか?
いつもどおり、前半で少しずつネタを振っていくというスタイル・・・それなりに笑えるのでこれはこれで良し。
今回はサスペンスもので、犯人が一体誰なのか?という推理モノの様相、記憶喪失っていうのが鍵になっていて「きっとこの辺りがネタなんだろうな」と呟きながら観る。
その辺の予想は全く外れ・・・今回に限って言えば、物語なんかどうでも良いという感じ・・・ていうか、後半のネタを追いかけるのが精一杯で物語が全然頭に入らず。
作・演の土屋さんがVRの反省点として映像が入ると観客はそっちに目がいってしまうって書いてあった気がするのですが、その反省が全く活かされていない作品。
映像の力というのはとっても強くて、今回もアイデアとしては面白いものであったと思う・・・ゲームネタに傾倒している昨今への批判はありますが、それよりも映像ネタが多いのが問題なんじゃないでしょうか?
今回のゲームの中に(画面の・・)役者が入ってしまうというアイデアの為に、サザンシアターという大きな箱が必要だったんだな、ということは分かりました。
やりたい事を実現してしまうパワーというのは尊敬に値するのですが、次は映像をやめて言葉のトリックに全力を注いでみて欲しいですね。
やっぱりそういう観点からしても、前回のアパートは私の中ではかなり良い作品だったなぁと思えるのです。
今回の作品は、初日以降のレビューでの評価がかなり悪くて、かなり期待せずに観に行ったのが功を奏したのか、結構楽しめてしまった。
試みている事が試みている事なだけに、作品というかネタの出来で評価されてしまう辛い立場にある劇団だなぁとつくづく思う。
作品を作り上げる為に全力を注ぐ役者の姿勢にも、ハッキリ言って頭が下がる。
批判的な言葉があるのは仕方ないし、評価の中で悪いところを連ねる作業もしなくてはならないのだが、ネットで見られる言葉があまりにもキツイので不安になる。
それは劇団としての形を維持できなくなる事への不安である・・・どんなに彼らを罵ったところで、凄いことをしている事には変わりないし、今回の作品をみて改めてやる事のくだらなさとそれを実現する力、ネタの為にこんな大きな劇場を借りるなんて正気の沙汰じゃない。
それを続けてくれるシベリア少女鉄道という組織を私は応援していきたいと思うのだ。
そして、役者やスタッフに最高の敬意を表したいと思う・・・それが、更なる良作への糧になってくれるのであれば・・・。
だからこそ、期待に答えて欲しいと思う・・・私は次回作に期待している。
そして近いうちに、過去の良作を再演して欲しい(私たちをギャフンと言わせてください)。
素敵な言葉を見つけたので最後にそちらを紹介したいと思います。
>>bsd
「脱線を期待している客を乗せ 走れシベリア少女鉄道」
なんか、時期的には問題ありな言葉ですけど、かなり素敵な短歌だと思ったので紹介させていただきます。
>>こんなものを買った。
今回の作品のレビューをまとめてくれています。
初日はトラブルがあったのか、随分と酷評が多かったようですが、徐々に良くなっているのかもしれません。
今日は、皆が言うほど悪くは無かったように思います・・・上手くいってない部分もありつつですが、リズミカルにいっていたでしょう。
あれだけの事をしている割には、頑張ってるよなぁ~という感想。
近隣の人の反応も良好、拍手はしっかり起きていましたよ・・・楽日に向けて駆け抜けて欲しいです。
posted by yositosi at : 22:55